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『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』 シリーズ最大の売りであるはずの庶民感覚が無くなってしまった

2010年8月10日 16:20 [21矢澤利弘]

可もなく不可もなし。


本広克行監督の『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』は、テロリストものの映画として見れば、ごく普通の出来である。


だが、テレビドラマ『踊る大捜査線』、そして、2本の映画作品の続編として見れば、ファンの心を捉えきれなかったのではないか。

引っ越しの最中に銃が盗まれ、その銃で人が殺される。主人公の青島(織田裕二)犯人が仕掛けた時限爆弾を止める。犯人グループから刑務所に収監されている日向真奈美(小泉今日子)らの犯罪者たちを解放せよとの要求が出され、室井慎次(柳葉敏郎)は苦悩する。要塞となった警察署に署員たちが閉じ込められる。そのほか、様々なエピソードが詰め込まれ、2時間20分以上ある本編を飽きさせることはない。この映画がシリーズものでなかったら、ごく普通のアクション映画である。


だが『踊る大捜査線』シリーズは、正義や信念だけを描く従来の刑事物に庶民感覚を導入したところが新鮮だったのではないか。自分のミスをもみ消そうとする上司。上司にごますりばかりをする署員。本店(警視庁)と支店(所轄)の関係。普通のサラリーマンと変わらないところを描くことで、この作品を人間味のあるドラマとして成立させていた。


本作にはそういった描写が希薄である。だから、『踊る大捜査線』シリーズのファンは「何かが違う」と違和感を覚えるだろう。


要塞と化した湾岸署に閉じ込められた署員たち。青島は木製の杭で頑丈なシャッターをガンガンと叩く。これで登場人物に共感できるわけはない。ただ、小泉今日子の狂気の演技は相変わらず、素晴らしかった。