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『僕らのワンダフルデイズ』:余命わずかな中年男とバンド。
ありがちなストーリーをいかに魅力的に見せるか。脚本、演出、キャスト、音楽のすき間のないコラボレーション。
2009年11月13日 18:45 [21矢澤利弘]

余命6カ月の末期がんの中年男が高校生時代の友人らとオヤジバンドを復活させ、残りわずかな人生を全うする。
こんな手垢の付いたストーリーの映画を誰が喜んで見るのだろうか--。
という先入観が一気に打ち砕かれた。使い古された題材であっても、ほんの少し知恵をひねり、的確な演出と演技と技術があれば、映画はいくらでも面白くできる。
死と音楽という実にあざといテーマ設定。少し映画慣れした観客だったら突っ込みどころを期待するだろう。ストーリー上の、演出上の、そして演技上の粗を探し出し、こんなお涙頂戴映画に引っかかるものかと斜に構えてしまうのがシネフィルの性だ。
だが、その目論見は見事に外れることになる。観客の予想を2回ぐらいひねって外してくる西村沙月と福田卓郎の脚本。星田良子の手堅い演出。そして竹中直人、宅麻伸、斉藤暁、稲垣潤一、段田安則ら出演者。そして音楽。彼らのコラボレーションにはすき間がない。
竹中直人は個性が強く、どんな映画に出演しても「竹中直人の映画」になってしまう。一方、彼のキャラクターと映画の役柄がぴったりとはまらないと映画の世界観と演技が完全に分離してしまう危険もあるという諸刃の剣のような役者である。だが、本作ではそれが見事にはまっている。
この映画は、『天国に行けないパパ』であり、『生きる』であり、『青春デンデケデケデケ』であり、『七人の侍』であり、『スウィングガールズ』であり、そして、それらのどれでもない佳作である。(了)

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