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2009年11月11日

21矢澤利弘

『サイドウェイズ』:饒舌で、単純明快なロードムービー。その心地よさ。

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チェリン・グラック監督の『サイドウェイズ』は饒舌な映画だ。主人公によるナレーションが多用され、状況設定や人間関係は映像ではなく、台詞で説明され尽くす。アメリカ映画『サイドウェイ』のリメイク。

この映画で観客を笑わせるのもアクションや俳優の動きを伴ったものではなく、台詞の面白さである。上杉隆之の脚本は説明過多ともいえる分かりやすさで物語を展開させる。観客は全く頭を使う必要がない単純明快な作りだ。

男ふたりのワイナリー巡り。カリフォルニアワインの聖地、ナパ・バレーを旅する彼らに女性ふたりが絡む。全編にワインが登場するが、全体がワインに酔ったよ うな映画になっているわけではない。例えば「酔った勢いで何かをすることができた」というエピソードも何カ所かあるが、全編がウォッカに酔ったかのような トーンに満ちた『ダークハウス/暗い家』のような陶酔感とは違う。

あくまでもテレビドラマのように分かりやすく物語が展開し、万人向けを目指しているのが手に取るように分かる。

カメラの動きも特筆すべきものはなく、当たり前のものを当たり前に撮っている。主要なキャラクターもすべて図式的な性格設定でこれまた分かりやすい。

だが、これが非常に心地よいのだ。観客は想像力を駆使する必要はない。頭を使わず、ただ映画を見て楽しい気分になりたいという観客には絶好の映画だろう。(了)

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