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2009年11月11日

01工藤英博

~西5でちょっとだけお茶を~ 野球のうまい映画スターは誰?

  大リーグは、日本選手初の最優秀選手(MVP)に選ばれた松井秀喜選手の大活躍で、ヤンキースが第105回ワールドシリーズを制した。ヤンキース軍は新球場1年目を、2000年以来9年ぶり通算27回目の世界一で締めくくった。 

 日本では3勝2敗で王手をかけていた巨人が11月8日、2-0で日本ハムを下し、7年ぶり21度目の日本一に輝き、原辰徳監督が札幌ドームで10度舞った。

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091111YG.jpg 思い起すと、私が小学6年生の時父に連れられて初めて観た野球映画が『甦る熱球』だった。

 『甦る熱球』(1949年、アカデミー脚本賞)は、テキサス州の片田舎の草野球の投手が、酒で道を誤り、浮浪者同然になった元職業野球の一流選手に認められ、猛特訓の末にシカゴ・ホワイトソックスに入団。輝かしい戦績をあげるが、趣味のウサギ狩りで自分の暴発弾を脚に受け、義足となる。しかし、不屈の闘志と妻の献身的な愛に助けられ、招待されたオールスター戦で驚異の勝利をつかんで見事なカムバックを果たす。実在した義足投手モンティ・ストラットンの伝記の映画化だ。野球少年だった私はとても感動したものだが、ただ残念だったのは、主役のジェームス・スチュアートの投球フォームがなんともギコチなくて、もどかしく思ったのを覚えている。

 ピューリッツアー賞作家、B・マラマッドの原作を映画化した『ナチュラル』(1984年)は、野球の天才少年と言われた主人公のロイが20歳になった時、ある事件で体に凶弾を受けてしまうが、そのハンディにも負けず活躍するロイの姿を感動的に描き出す。主人公のプロ野球選手を演じているのがロバート・レッドフォードだ。レッドフォードは若い頃にかなり野球をやっていて、ホントは野球がうまいはずだし、この映画に出演する際には、元大リーガーのフランク・シェイから指導も受けているのに、まるでサマになっていない。さらに主人公の少年時代を演じる子役がヤケに野球がうまいので、レッドフォードのダメな所が一層際立ってしまっている。しかしその一方で『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年)におけるケビン・コスナーは別格で野球映画に出演していても野球がうまく、実にサマになっているのだ。

 それではケビン・コスナーの他に野球のうまい米国俳優は一体誰なのか?

  アカデミー賞主演男優賞2回受賞という演技派俳優は、ジャック・ニコルソン。野球とは関係ない映画『シャイニング』(1980年)で、壁に向かってボールを投げつけるチョッとした場面の、その姿だけでニコルソンは野球がうまいことを看破したのは向井万起男氏(慶大医学部准教授)。野球のうまい俳優探しは大リーグ通、映画通として私が最も尊敬する向井先生の助けを乞う意外に手はない。

 傑作コメディ『メジャーリーグ』(1989年)。実在のチーム、インディアンズをモデルに作られたと言われているが、当事者達が苦笑いしそうな珍プレイが続出して沸かせる。チームの売却を目論む新オーナーの策略で落ちこぼればかりが集められたインディアンズ。当然まともならチームは勝てるはずもないが、そんなことと知らない選手たちは優勝を目指して一致団結する。この映画で投手役を演じているチャーリー・シーンは高校時代に野球チームの投手だけあって、投球フォームが実にサマになっていて、しかも球速も140キロ近いらしいから驚きだ。ちなみにチャーリー・シーンは今でもメジャーリーガーの役柄で、アメリカのテレビCMに登場しているようだ。

 

091111C.Sheen.jpg アメリカ映画『プリティ・リーグ』(1992年)は史実を基にしている。第2次世界大戦中、男たちが戦場に出払ってしまった1943年のアメリカで、プロ野球の伝統を守るため、全米選りすぐりの美女たちで構成された史上初のプロ野球ウーマンリーグが誕生。『プリティ・リーグ』はこの史実をある女子チームを通して描いた秀作で、マドンナの盗塁、G・デイビスのパワフルな打撃など、ダイヤモンドいっぱいに艶やかなプレイを繰り広げるヒロイン達の姿か美しい。

 この映画で女子チームの男性監督を演じているのはトム・ハンクス。アカデミー主演男優賞2回受賞の演技派として広く知られているが、野球もうまいことはあまり知られていない。だが、この映画でトム・ハンクスがフリーバッティングをするシーンを観れば野球も結構うまいことがわかるはずだと向井先生は言う。

 

 映画と野球についてはまた機会があれば述べたいと思うが、日本の映画界で最近の野球映画と言えば、私が7月25日のこのブログ「今年の邦画最大のヒット作」で書いたTBS映画『ROOKIES―卒業―』(東宝)になるのだろう。興行収入であの『花より男子』(77億5千万円)を抜く、記録的な大ヒットとなったのは喜ばしいことだが、いわゆる"スポ根もの"の域は出ていない。

 野球ファンが心の底から堪能できる本格的野球映画の誕生が待たれてならない。

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