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『沈まぬ太陽』:連続ドラマの総集編的な作り。感動的だが映画としては成立していない。日本人は現実とダブらせて見ることができるのだが。
2009年10月27日 01:19 [21矢澤利弘]
若松節朗監督の『沈まぬ太陽』は長尺で、純粋な映画というよりは連続テレビドラマの総集編的な作りである。原作となった長編小説の要素を詰め込んでいるため、長尺ではあってもストーリー的には無駄な要素はなく、退屈することもないが、逆に1本の映画として焦点がぼやけてしまった。
不器用な正義漢の会社人生を描きたいのか。巨大組織の怖さを描きたいのか。それとも飛行機事故で家族を奪われた人々の悲しみを描きたいのか。大作小説をそのまま読むのであればよいのだが、映画としてみた場合、核となる一本の線がないのである。
純粋に1本の映画としてみた場合、原作が実話をベースにしていようが、日本航空の現状がどうであろうが、それらは映画の出来とは無関係である。
観客のなかには思わず涙を流してしまったという人もいると聞く。日本人であればどうしても御巣鷹山の日航機墜落事故と比べてしまうが、仮に御巣鷹山の事故を全く知らない外国人がこの映画を見た場合、我々と同様の感情を持つとは思えない。
我々は知らず知らずのうちに、映画で描かれている世界を現実に起こった墜落事故の背景知識で補ってしまっている。だから、観客は実際の御巣鷹山の凄惨な事故に涙しているのであって、映画そのものに涙しているわけではないのではないか。
西岡琢也の脚本は原作を手堅くまとめている。だが、映画は原作とは別物という視点から、御巣鷹山の悲劇を描くのであれば、主人公が海外の過疎地を点々と左遷されたというエピソードが長過ぎるし、会社にたてつくものは報復人事を受けるという会社という組織の怖さを描くのであれば、御巣鷹山のエピソードが長過ぎる。一方、原作をほぼ忠実に映像化してあると喜ぶ小説の読者もいるだろう。
原作ものの映画の難しさがここにある。(了)
不器用な正義漢の会社人生を描きたいのか。巨大組織の怖さを描きたいのか。それとも飛行機事故で家族を奪われた人々の悲しみを描きたいのか。大作小説をそのまま読むのであればよいのだが、映画としてみた場合、核となる一本の線がないのである。
純粋に1本の映画としてみた場合、原作が実話をベースにしていようが、日本航空の現状がどうであろうが、それらは映画の出来とは無関係である。
観客のなかには思わず涙を流してしまったという人もいると聞く。日本人であればどうしても御巣鷹山の日航機墜落事故と比べてしまうが、仮に御巣鷹山の事故を全く知らない外国人がこの映画を見た場合、我々と同様の感情を持つとは思えない。
我々は知らず知らずのうちに、映画で描かれている世界を現実に起こった墜落事故の背景知識で補ってしまっている。だから、観客は実際の御巣鷹山の凄惨な事故に涙しているのであって、映画そのものに涙しているわけではないのではないか。
西岡琢也の脚本は原作を手堅くまとめている。だが、映画は原作とは別物という視点から、御巣鷹山の悲劇を描くのであれば、主人公が海外の過疎地を点々と左遷されたというエピソードが長過ぎるし、会社にたてつくものは報復人事を受けるという会社という組織の怖さを描くのであれば、御巣鷹山のエピソードが長過ぎる。一方、原作をほぼ忠実に映像化してあると喜ぶ小説の読者もいるだろう。
原作ものの映画の難しさがここにある。(了)

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