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東京国際映画祭:「ライブテープ」、吉祥寺の街全体がライブハウスになる74分間
2009年10月22日 01:37 [21矢澤利弘]

松江哲明監督の『ライブテープ』はミュージシャン、前野健太の演奏を74分間、1カットで撮影した。ドキュメンタリータッチで、一見すると行き当たりばったりで撮影されたようにも見えるが、実はきっちりと作りこまれた作品である。
元 旦の吉祥寺。ギターを持ちながら前野健太は自作曲を歌いながら街を練り歩く。カメラはそれを延々と追い続ける。無計画に移動しているわけではない。あらか じめ道順は計画され、どこでどのように動くかは予定されているはずである。だが、それが完全に予定通りにいくかといえば、そうではないだろう。二度と撮る ことのできないかけがえのない瞬間がフィルムに刻まれる。
最初は前野がギター1本で歌っているが、途中からサックスが合流する。徐々にドキュメンタリータッチから作りこまれた雰囲気に変わっていく。前野へのインタビュー。亡き父への思いが語られる。その直後、公園に集まっていたバンドとともに、そのインタビューで語られた「天気予報」という曲がの演奏が始まる。この流れは映画的な興奮を誘う。
ここで我々はライブテープというタイトルの意味を知る。40分でも100分でもない74分。ビデオテープの撮影可能時間内に収めた。
一見すると、曲をつないだだけのミュージッククリップにも見えてしまいがちだが、決してそうではない。しっかりとドラマとして成立しているのだ。
作りこんでいるが、作りこまれたようには見えない。狙いどおりのごく自然体の映像がここにある。(了)
矢澤利弘

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