パン屑ナビゲーション
- 映画専門大学院大学TOP >
- 専任教職員ブログ
「スラムドッグ$ミリオネア」と「闇の子供たち」
2009年5月 2日 22:17 [04大野克人]
迷ったが、やはり書くことにしました。実は、「闇の子供たち」は、在日韓国人作家ヤン・ソクイル氏の原作小説を、阪本順治監督以下の日本人スタッフがタイを舞台に映画化したもので、「ある国に関して、外国人主導で作られた映画であること」という観点からは、「スラムドッグ$ミリオネア」や「トウキョウソナタ」と同じカテゴリーではありますが、「解決が困難な社会の暗部を対象にし、ハッピーエンドには仕上げていないこと」で相異しており、それだけに迫真性が強い映画です。私は、この3作品の中では、「闇の子供たち」にもっとも心を動かされましたし、邦画でもこれだけ凄い作品が作られ、7館上映スタートから102館のヒットとなり、共感を呼んだことは、日本の良心の証であるとすら思った時期がありました。
しかし、中心となった心臓移植がタイのあのような状況下ではあり得ないという意見が否定されないこととなり、「闇の子供たち」全体の現実に近い話としての信憑性への疑問から、この映画をどのように咀嚼してよいのか、私としては大いに迷っているわけです。3作品の中では、もっともドキュメンタリーに近い作風であるし、実話としての観点から高い評価を感じた人間が私も含め多数いたことから、問題は無視できないようにも思われます。仮に、3作品ともフィクションであることは自明であり、中心になるテーマが事実としてはあり得ない話であっても、全体として訴えるものに共感できれば、良いのであるとすれば、私は、この3本の中では、やはり「闇の子供たち」がもっとも優れた作品だと考えます。
阪本順治監督、奇しくもNHK大河ドラマで主演を演じている宮崎あおいさん、妻夫木聡さん、主役を公演した江口洋介さん、あるいは佐藤浩一さん等々の日本を代表する映画関係者の方々は、本作が先ずあり得ないと言われるタイの闇市場での心臓移植を、あたかも事実のように映画化していることを承知してコミットしたのであろうか。
本作が、タイでは上映禁止になったことも理解できなくもない。「靖国」が外国人によって作られた映画でなければ、話題にはならなかったような凡作であるの対し、「闇の子供たち」は制作的には秀作であり、この辺に外国人が特定の国を題材にする難しさあるように思われる。
「スラムドッグ$ミリオネア」をインドの人はどのように受け止めているのかも、深尾先生に聞いてみたい点である。

- テレビ・ラジオ・映画・アニメ・音楽・芸能の世界で活躍できる人材を育成する学校法人東放学園。
- 学校法人東放学園サイト

![]()
〒151-0071 東京都渋谷区本町3-40-6 TEL:03-5365-3399
Copyright 映画専門大学院大学 Graduate School of Film Producing All Rights Reserved.





































