~西5でちょっとだけお茶を~ 優良番組のトップに選ばれたのは?―頑張れ!小谷真生子―
4月28日に発表されたある調査結果が、いまテレビ界で話題になっている。
調査を行ったのは「優良放送番組推進会議」という団体。この聞きなれない団体名は、実はトヨタ、NTT、パナソニック、東京電力など、テレビ局にとっては番組スポンサーとして、喉から手が出るほど欲しい大手企業26社で構成されている集合体で、"テレビ番組の質の向上を図る"ため、毎月1回テレビ番組に関するアンケート調査を公表する方針だという。
28日に発表されたのはNHK、民放で放送されている37の"報道番組"のうち、優良と思われる番組のランキング。
この調査で1位に輝いたのが、なんとテレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』(WBC)だったのである。以下、『おはよう日本』、『クローズアップ現代』、『ニュース7』(いずれもNHK)、『サンデーモーニング』(TBS)と続く・・・。この仰天な結果は"報道番組"に限ったとはいえ、通常の視聴率調査なら『報道ステーション』(テレビ朝日)や『ニュースウォッチ9』(NHK)や『NEWS ZERO』(日本テレビ)などの方が上位に来るはず。『WBC』なんて視聴率5%前後の地味そのものの番組。それがいきなりトップにきたのだから、業界人が驚くのも当然だ。
中には「キャスターの小谷真生子がオジサン好みにピッタリ」という冷めた見方もあるのだが、だったらNHKの青山裕子だって、日テレの小林麻央だってオジサン好みに違いない。

それなのに『WBC』が1位に躍り出た理由は一体何か?それはこの団体が設立された理由と大いに関係がある、と見るのが妥当だろう。
視聴率を意識するあまり、低俗番組(おバカ番組)が氾濫する現在のテレビ界に対して、スポンサーが強烈なメッセージを発信したのだ。TVマンたちは"高視聴率=スポンサーが喜ぶ"と思って低俗番組を作り続けているのだろうが、実は決してイコールではない。むしろスポンサーは徐々に"良質な番組を応援した方が企業イメージが上がる"と考えている。それがなかなか理解されないので、あえてショック療法に出たのではないだろうか。もっと分かりやすく言えば、今のテレビ番組の総バラエティ化現象がスポンサーの我慢の限界を超えた、ということなのだ。
『WBC』は派手な効果音を使うことも、妙なアイドルタレントを起用することもなく、ひたすら経済ニュースを中心に地道な番組作りを続けている。他局の制作スタッフは今回の調査結果を肝に銘じるべきである。余談になるが、私が審査委員長を務めた「ATP賞テレビグランプリ2007」では、この『WBC』の制作チームの20年に渡るたゆまない努力に対して"ATP特別賞"を贈って顕彰した。

テレビ番組の制作姿勢に触れた序に、現在の制作現場に目を向けてみると、広告費の減少、それにともなう製作費の圧縮という流れに、かなり疲弊していると言わざるを得ない状況だが、一筋の光明は製作会社の中には、NHKを含むテレビ界全体の"保守化"、"事なかれ主義"に危惧を抱いている人も決して少なくはなく、現状に対して問題意識を明確に持ち、製作者としての矜持を失っていないことである。閉塞状況にありながらも「良い番組を創る」意志と「番組を通して視聴者に発信したい」という初期動機を維持し続けている人も多いのだ。それは製作者としてプロフェッショナルであろうとする意識であり、その意識は時としてテレビ局の担当者より高い。そのことをこの機会に是非、付け加えておきたい。
