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ザ・バンク 堕ちた巨像
2009年4月26日 18:37 [04大野克人]
実在した犯罪銀行BCCI(Bank of Credit and Commerce International)をモデルに脚本を書いたということで、BCCI事件で損失を被った銀行に勤務していた人間としては、観に行かざるを得ない映画のリストに入れていた。しかし、Yahoo映画のユーザー・レビューで、もっとも支持されているレビューのタイトルが「{詐欺}金融マンよ、期待することなかれ」(ひとつ星)であったことが気になると同時に、ある予想を持つことが出来た。本作は、Yahooレビューの通りであり、銀行を仮の舞台に利用したアクション映画で、"The International"という原題を何故、「ザ・バンク」というビジネス映画のような邦題にしたのか理解に苦しむ。
アクション映画として観れば、グッゲンハイム美術館での銃撃戦などは、舞台の選び方からしても、強く印象に残り、トップ・クラスとは言わないまでも、悪くないと思う。
しかし、ビジネス映画として観ると、あまりに荒唐無稽で、作者がBCCI事件の真相をどこまで究明してシナリオにしたか、聞きたいところではある。BCCIは、日本にも支店があり、世界中に店舗を持った銀行(40カ国、700支店)で、たくさんの悪い噂や風説があったが、多分、この映画は相当のフィクションになっていると思われる。(何冊か調査書籍が出版されています)
私が働いていた銀行の損失は、円ドル為替の送金で、BCCI東京支店に円貨を渡し、BCCIニューヨーク支店から同額のドルを受取る取引で、この取引の途中で、BCCIが倒産してしまい、円貨は渡したが時差の関係でドル入金が凍結されてしまった。銀行間の決済では、このような取引は珍しいものではなく、そのために銀行は通常倒産しないように政府や中央銀行に検査されているわけだが、BCCIはパキスタン系の資本でありながら、ルクセンブル国籍にし、ロンドンのオペレーションが最大で、結局、実態を把握している政府が存在していなかった。この結果、この映画にあるように、イスラム諸国の核兵器開発の資金源になったとか、CIAの秘密資金をアフガン・ゲリラに送金していたと言った噂が途切れることがなく、91年に破綻した。
私の話しよりは面白くためになる金融やビジネスの教材用の映画を何本か持っているが、意外に良いビジネス映画は少ない。本作も教材としては不可である。

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