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2008年8月 4日

04大野克人

ロシア映画「ナイト・ウォッチ」

ソクーロフの「太陽」以外には最近のロシア映画を観てないので、話題作で日本でも劇場公開された「ナイト・ウォッチ」を観ることにした。概要紹介には、「セルゲイ・ルキヤネンコのベストセラー小説の3部作の内の第1章を映画化し、ロシアで興行収入ナンバーワンの大ヒットを記録した、過去から連綿と続く""""の戦いを描いた壮絶なファンタジー」とある。

 

私は、スピロバーグ作品を含めてSFアクション系の映画は好きではない。この偏見の根拠は、現実の世の中に山ほど面白い材料や深刻な問題が存在しているのに、好んで荒唐無稽な作り話に付き合う必要も時間もないと思っているからで、「ナイト・ウォッチ」がロシア映画でなければ、先ず観ることはなかったと思う。

もう一つの前提は、ロシアの文学や芸術は人類の宝であり、これらを背景にしたロシア映画には、エイゼンシュタイン、タルコフスキーなど、私でも観たことのある歴史的傑作が存在しており、最近余り話題になっていないが、ロシア映画には素晴らしいものがあるはずであるという期待感の存在である。

 

結論を言えば、「ナイト・ウォッチ」に対する前向きの興味は10分で失われ、後は耐えがたきを耐える時間となった。この映画は、場末で作られたハリウッドSFアクションの物まねにしか観えない。ハリウッドSF作品には、CGの楽しさや愛嬌のあるキャラクターといった救いがあるが、予算と技術の制約やスラブ系の暗い顔の役者が多いといったことからか、SF映画のエンタテイメント性すら失われている。荒唐無稽な作り話を深刻な顔と多量の流血で描いて、何を表現しようとしているのであろうか?新しい社会を作るはずだったロシア革命、そしてアメリカと対峙した歴史を持つ大国が、ハリウッドの猿真似をしているとすれば、寂しい限りである。

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