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期待させる山下敦弘監督
2008年7月14日 21:14 [04大野克人]
脱力系とかユルーイ作品は、平和ボケ日本を象徴するようで嫌いであるが、「天然コケッコー」が気に入って、山下監督の「松ケ根乱射事件」も観ることにした。
先ず、出だし5分の尋常でない幕開けで引き込まれた。性的要素に興味を持たない人間は少ないので映画の味付けには極めて有効であり、今村昌平監督のそれが中華料理にフォアグラを混ぜ、更にとんかつソースをかけたような味だとすると、「松ケ根乱射事件」の性的要素の利用の仕方は、回転寿司の味である。性的要素を実用的で力みの無い回転寿司のような味付けとして利用し、映画の本筋には非日常的狂気の要素をこれまた回転寿司のように、気張らずユルーイ味付けで日常化して語り続けている。隣のニイチャンのような警官が、突然、銃を乱射したくなる気持ちにも同感できる。
「リンダ・リンダ・リンダ」「天然コケッコー」と本作しか山下作品は観てないが、この3作には脱力系のユルーイ作品という共通点はあるが、それぞれに狙いが違う個性的な作品で、山下監督の幅の広い才能が感じられる。脱力系の発想やオタク文化は、平和ボケ日本で始めて可能になるユニークな発想で、違うことが価値の源泉であるとすれば、これは現在のわが国に新たな価値を生み出す可能性がある。しかし、わが国の強みとかコンテンツ産業の育成とか言った考え方と脱力系やオタク文化は異質に過ぎてとても同一人物が両立させることは困難であろう。山下監督のような才能を、世界に通用するまでに育て上げる企画力と実行力を持ったプロデューサーが待望されている。

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