わが想い出の『傷だらけの天使』
「相棒~劇場版」の最終興行収入は45億前後が見込まれているそうだ。
東映も久々の大ヒットで邦画界にとっても実に喜ばしい限りだ。テレビの2時間ドラマから連続ドラマ、そして劇場用映画へとヒットの連鎖を積み上げてきたサクセスストーリーに惜しみない拍手を送ろう。
そして、とりわけ嬉しいことは、水谷豊のブレイクぶりだ。今や音楽番組やニュース番組にまで登場して、唄やトークにと水谷ファンを魅了してくれている。
ならばいっその事、水谷豊を世に出すきっかけになったシラケ世代の若者の心の挫折を描くハードボイルド「傷だらけの天使」を改めて観てみよう。「相棒」の寺脇康文とのコンビとはガラリと変わって、水谷演じる乾亨は、萩原健一演じる小暮修が唯一、心を許す弟分である。
修が要領よく立廻るのに対して、底抜けに善人の彼はいつも損な役回りばかりを演じさせられる。ふたりとも金と愛に飢え、虚勢を張って社会の底辺で生きている似たもの同志のチンピラコンビ。
こんな設定で展開する、このピカレスク(悪漢小説)風青春ロマンの特筆すべき点は何といっても、深作欣二、工藤栄一、神代辰巳、恩地日出夫といった名だたる監督が交代で演出にあたったこと、それにカメラはあの木村大作。さらに脚本は市川森一、鎌田敏夫、大野靖子らの起用、音楽は井上尭之、大野克夫、ファッションはBIGIを設立したばかりの菊地武夫が担当するなど・・・そこには70年代の最先端カルチャーが集約されていて・・・。
なにを隠そうかく言う私は、この「傷だらけの天使」をかの伝説のプロデューサー、清水欣也と一緒にプロデュースしたのです。これまでの自画自賛の数々、平にお許し下さい。
「傷だらけの天使」(スカパーでは、毎日曜日早朝に放送中)の水谷の躍動感あふれる瑞々しい演技を「相棒」の杉下右京と合わせて楽しんでもらいたいものだ。
それにしても、水谷のデビュー時の「太陽にほえろ」で多摩川の土手をひたすら逃走するシーン、あの必死に走る水谷のかっこよさと新鮮だった衝撃をいま改めて思い出している。
