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スタアの呼ばれ方

2008年6月19日 19:35 [07加藤厚子]

前回は愛称でしたが今回は「呼ばれ方」の話です。古い言い方で「三羽烏」というものがありますが、前回登場した林長二郎・高田浩吉、そして坂東好太郎は「松竹下加茂三羽烏」と呼ばれていました。そして1930年代の松竹大船を支え、特に若い女性から高い人気を得ていたのが「松竹大船三羽烏」=上原謙・佐野周二・佐分利信です。上原は加山雄三の父、佐野は関口宏の父すなわち関口知宏の祖父です。それぞれ違った魅力を持つ彼らですが、撮影所のスタッフからの呼ばれ方にも、三人の個性の違いが出ていました。

佐野は神田生まれですが呼ばれ方は「佐野やん」。親しみやすい性格だったので、気やすく関西風に呼ばれていたようです。北海道出身の佐分利は、朴訥で無口な役柄が多いためか、九州風に「佐分利どん」。上原は「上原さん」「上原くん」と呼ばれていたようです。強烈な個性がなく、洗練されたスマートな役柄が多かったゆえの、くせのない呼ばれ方といったところでしょうか。

そんな大船三羽烏が主役の作品が『婚約三羽烏』(島津保次郎監督、1937年)です。高峰三枝子演ずるお嬢様をめぐり、三羽烏はそれぞれの恋模様を演じています。松竹は三羽烏が好きなようで、1920年代にも一組、戦後にも二組の三羽烏を売り出しています。1959年には上原・佐野・佐分利+戦後の二組の顔合わせで、『三羽烏三代記』なる作品も製作していますが、呼ばれ方まで三者三様の「松竹大船三羽烏」は、一番"キャラ立ち"していたのかも知れません。