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7/3 映像ビジネス特論Ⅰ ゲスト講師 NHK西村与志木プロデューサー

2010年7月20日 09:36

 7月3日に行われた映像ビジネス特論ではスペシャルドラマ「坂の上の雲」の西村与志木NHKエグゼクティブプロデューサーにご登壇いただきました。
今回の講義では、主にプロデューサーとはいかなる仕事であるか、という事を中心に語っていただき、そこから西村氏自身が「坂の上の雲」の制作に携わるに至った経緯と、ドラマの制作で苦労した秘話について話を展開していかれました。


 まず冒頭で語られた、プロデューサーとは何か、という説明では西村氏の持論曰く、"ディレクターは分かりやすい監督さんの一言で片付く。けれども、プロデューサーはちょっと説明が難しく、私は家を建てる工務店のオヤジだと思っている"、と語られました。


 西村氏は、続けて大工を例にあげて分かりやすくプロデューサーの仕事について次の様に説明していただきました。
"家を立てる場合、まずどういう家を客が欲しているかどういう家があるか、というニーズの把握を行う。そのニーズを知った上で客と接し、客を取る。ただ客にも二つあって、一つはプロデューサーに注文してくれる人、もうひとつはそれを消費してくれる人。私たちが相手にするのは当然ながら注文してくれる人なのだけれども、二つ挙げた客をどうさばいていくか、というのがプロデューサーなのです。"とおっしゃいました。
 一連の流れとしては、家を建てたいという客を見つけて注文をとり、どんな家がいいかを聞く。そしていよいよ注文が決まったら、設計士を呼んで設計をしてもらう。この場合、設計士が脚本家。ここがポイントなんですけれども、注文を受けたわけなので、注文通りの設計をしてもらわなければ困るわけです。脚本家が、この場合は設計士ですけれども、こういう美学を自分は持っているわけだから、このように建てたい、とか言われても、お客さんは困るわけです。他にはお客さんの注文を上回るような設計(脚本)を書いてくる。この場合どんなに良い脚本でも、当初の予算の倍以上かかってしまったらダメなわけです。ですから、注文に合うようなモノを書いてもらうというのが、工務店のおやじの大事な仕事です。
 設計が決まって、施工に移るわけなのですが、監督やディレクター、私の持論では彼らは大工さんに当たります。材料を使って家を建てる人です。この場合は家を建てるわけなので相当な腕が必要です。で役者さんはなんに当たるかといいますと、材料です。木とか柱とか障子やフスマとか。その大工さんを選んでどういう材料をどれくらいのコストで作っていくかがプロデューサーなわけです。脚本家と同じで、大工にも美学があるとかですごいいい家を作りました、けれども予算が倍以上かかりました、となったら一番困るのは工務店のオヤジです。だいたいそういう工務店は潰れてしまいますが、原因は大抵工務店のオヤジです。ディレクター・役者をコントロールしていくというのがプロデューサーの仕事です。
 自分に言い聞かせていることでもあるのですが、私今とんでもないお金を使っていますから、コントロールしないと大変なことになる。自戒の念も兼ねています。予算のコントロールが出来なかった時点でだめです。
 家を立てたらこれで商売が終わりかというとそうではありません。まだ続きがあるのです。家を立てたところまでが、放送されたり上映されたりするところです。そこから先がプロデューサーとしてすごい大事なところです。アフターサービスです。お客さんがどういうふうに映画を見たのか、テレビのドラマを見たのかをしっかり把握して、その反応や満足度を次の作品に活かしていく。フォローがすごく大事です。一番大事なのがアフターケア。マーケットリサーチとかをしながら次のお客さんを取っていく。それがプロデューサーです。"と。

 
 続いて「坂の上の雲」の制作にいたるまでの経緯と「坂の上の雲」を作る際の苦労話などを話されました。
 第1回で描かれた背景が、話が3分間進行する間に、広島や明治村、上海の撮影所、江戸ワークステーション、会津の武家屋敷、日活のセットの6箇所を使ったことや、ロシアのエカテリーナ宮殿で撮影した際は、借り切るために観光客の来ない真冬に撮影を敢行したことや、黄金の間のほとんどが鏡張りであったことから撮影が如何に難しかったか等の制作裏話についても話していただきました。


今回は、プロデューサーの本質を丁寧に語って頂き、終盤では多彩な質疑応答が行われました。